新しい形の暗号資産IEOとは?仕組みやメリット、デメリットを解説
こんにちは、禅のロブロイです。
何度目かと言うと少し困るのですが、のビットコインやイーサリアムなど暗号資産の価格が高騰し、投資先としての価値が高まってきました。
暗号資産に投資して大きく資産を増やしたいと考えている方にとって非常に魅力的な投資先となっています。
そのような状況の中で2021年7月29日、暗号資産のひとつIEOが日本でも取引できるようになってきているのは注目するべき事であり、暗号資産のIEOが一体どういったものなのかもしっかりと知っておく必要があるでしょう。
「暗号資産に興味があるが内容はよくわかっていないので知りたい」
「IEOって何?ビットコインと何が違うの?」
「IEOに興味があるのでメリットを知りたい」
と思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、暗号資産について説明するとともに、暗号資産IEOの仕組みやメリットやデメリットについて解説いたします。
目次
暗号資産とは
暗号資産のIEOについて調べる前に、まずは暗号資産がどういったものなのかを知っておきましょう。
暗号資産とはどういったものなのかを知っておかなければ、IEOについて理解する事は難しいです。
暗号資産は、紙幣や硬貨という実態としての形を持っていません。
インターネットを介して決済ができるデジタル上の通貨の総称です。
2020年5月に金融庁によって、顧客財産や利用者保護の強化、暗号資産を取り扱う事業者の業務の適正性を確保するために法整備が行われ、あわせて呼称も仮想通貨から暗号資産へと変わりました。
背景には、ビットコインなどの暗号資産がハッキングよって盗まれたり、マネーロンダリングの温床となってしまっていたため、法整備と利用者保護の必要性があった事が理由でしょう。
通貨と暗号資産の違い
暗号資産とは?を知る上で、通貨と暗号資産の違いについて知っておかなくてはなりません。
1,000円札や100円硬貨といった、私たちに馴染みのある通貨は法定通貨と呼ばれ、国が発行して管理しています。
通貨を国の管理下におくことで安全性を確保するとともに通貨価値をコントロールする事が考えられています。
一方、暗号資産は発行元が存在しません。
利用するユーザー同士でコントロールしたり管理しているというのが法定通貨と大きく異なります。
また、発行数に上限を設けている暗号資産が多く、価値が下がらないようにしています。
ご存じの方も多いと思いますが、2017年末ごろにビットコインが一気に高騰し、億の資産を手にした人を「億り人」と呼び、ビットコインで大きく資産を築いた億り人がたくさん誕生したときがありました。
その後すぐに価格が暴落したり、ビットコインが喪失したりと安全性の問題が一気に噴出してブームが去った事から、通貨よりも暗号資産の方が値動きや、価値の変動が激しいと言う事がわかるのではないでしょうか。
暗号資産の仕組みについて
暗号資産は、ネット上に存在するだけで実態を持っていませんが通貨として利用することができます。
ビットコインをはじめいくつかの暗号資産は、法定通貨と同じく商品やサービスを購入したときの支払いに利用できます。
最近では、アメリカの電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOがビットコインによる支払いを受け入れて話題になりました(2021年9月現在はビットコインによる支払いは停止されています)。
また、ネット上に存在するため送金を簡単に行うことができます。
法定通貨のように銀行を仲介して送金する必要がないため、手数料も無料あるいは掛かっても安く抑えられるメリットがあります。
暗号資産と電子マネーの仕組みの違いとは?
暗号資産の仕組みから電子マネーと何が違うのか疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
どちらも実物の通貨のやり取りがないことやデータ上のやり取りという点で非常に似ています。
両者の違いですが、電子マネーは国が発行する法定通貨をデータ化したものですが、暗号資産はネットに存在する仮想上の通貨をデータ化したものをユーザー同士で利用しています。
また、電子マネーは発行した国でのみ利用可能ですが、暗号資産は購入した国に限定されず、世界中どの国でも利用することができます。
さらに、電子マネーは米国ドルや日本円など通貨に換金することは仕組上できませんが、暗号資産は売買することができますので実際の通貨に換金することができます。
新しい形の暗号資産IEOとは?
暗号資産について簡単な知識を得たところで、暗号資産IEOについて解説いたします。
IEO(Initial Exchange Offering)とは、暗号資産を用いた資金調達手段のひとつです。
IEOを説明し理解していただくには、ICO(Initial Coin Offering)について説明する必要がありますので、先にICOについて解説いたします。
暗号資産ICOとは?
ICOは、IEOよりも前に導入されている暗号資産を利用した新しい形の資金調達方法でした。
ICOは、トークンと呼ばれる発行元と投資家が直接取引することが可能な仕組みです。
企業や個人は、プロジェクトを行うために資金を必要としたときにトークンを発行します。
そのプロジェクトや企業に魅力を感じた投資家がトークンを購入することで資金を調達し、投資家はプロジェクトによって利益を得ることを狙います。
ICOは、クラウドファンディングをイメージしていただけると理解しやすいです。
クラウドファンディングは、企業や個人がネットやSNSなどを通じて、夢や目標を達成するために資金が必要なときに広く出資者を募集し、その思いに賛同した方が資金を提供するという仕組みです。
クラウドファンディングは、応援の意味合いが強いことから必ずしも利益や資金の回収が目的ではないうえに管理する仕組みもありません。
個人同士や企業と個人が直接やり取りを行うためICOの仕組みに近いためイメージしやすいと思います。
ICOが抱える問題
ICOは良いものだ!と言え、画期的に見えるICOですが、調べてみると以下の問題点が見えてきました。だからこそ、ICOの問題を解決する為に「IEO」が生まれたのです。
- 信頼性が低い
- 管理者がいない
資金を集めたい人は、誰でも気軽に開始できる調達方法であると同時に大きいリターンを狙う投資家にも魅力的でした。
画期的である反面、トークンについて法律の規定内では対処が難しく、法整備が整っていないことを利用した問題が多発しました。
資金調達後に音信不通となったり、プロジェクトが未完成のまま進行が止まったりする状況が出てきてしまい、取引の信頼性が失われICOの在り方が根底から崩れてしまいました。
IEOの登場
IEOは、ICOでの問題を解決するために取引所が管理します。
トークンを発行し資金を調達するためには、取引所の審査に合格し上場しなければなりません。
取引所は、万が一トラブルがあれば取引所としての信用に傷がつきますので、上場する基準を厳格化しています。
基準を満たしたプロジェクトのみがトークンを発行できますので、投資家はトラブルのリスクを回避して利益を狙うことに専念することができると言う事です。
取引所が間に入ってトークンを発行すること、プロジェクトの健全性や適正性など精査するのでICO一連の問題を解決することができました。
IEOは、株式取引をイメージしていただけると理解しやすいです。
株式にIEOを例えてみるとわかりやすく、企業はプロジェクトや新しい事業を行うための資金集めの手段として株を発行し調達します。
そのためには、東証1部などに上場する必要がありますが、東証の厳しい審査をクリアしなければ上場できません。
投資家は、東証の審査をクリアーした信用のある会社から株を購入し利益を狙う仕組みなのです。
東証を取引所、IEOを上場したい企業として考えるとIEOの安全性がICOよりも高いと言うのは明確ではないでしょうか。
IEOのメリットについて
IEOのメリットは3つあります。
メリットがなければ、IEOを利用する意味がありません。
- 信頼性が高い
- 発行元の宣伝費の削減
- プロジェクトの実施が容易になる
あくまでも、主になので細かく考えるとメリットはもっと多いです。それでは早速メリットについて解説していきましょう。
信頼性が高い
IEOでは取引所において発行元の企業やプロジェクトの内容を審査基準に照らし厳格に精査します。
取引所としては自社が責任を持って販売するトークンですので、プロジェクトに問題がありそうなものを投資家に販売するわけにはいきません。
技術力や運営の健全性などを入念にチェックし、問題がないと判断されて初めて上場してトークンを販売します。
そのため、審査を通過したプロジェクトの信頼性は高いと言えます。
発行元の宣伝費の削減
IEOはプロジェクトを立ち上げて資金を調達したい企業側にもメリットがあります。
ICOはトークンの発行元と投資家が直接取引をする仕組みですので、発行元が広告・宣伝してトークンを購入してもらう必要がありました。
一方IEOでは、取引所が広告・宣伝を実施するため発行元の広告・宣伝コストが削減できると言う大きなメリットがあります。
プロジェクトの実施が容易になる
株式の発行は厳しい基準と入念な準備が必要となるため、資金を調達したい企業にとっては手間とコストが非常にかかります。
株式に比べると企業は、IEOならばスムーズに参入できますので、東証に上場してIPOするよりIEOで資金調達することを検討する企業が増える可能性は十分にあります。
そうなると、IEOの市場は近い将来急成長する可能性を秘めています。
IEOのデメリットについて
ICOの問題点を解消し、メリットが多いIEOにもデメリットがあります。
どんなに良いものでも、メリットだけと言うのはあり得ません。何かしらデメリットがあるので、メリットとデメリットを比べる必要があるのです。
- 価格下落のリスク
- さらなる法整備が必要性
大きなデメリットと考えられるのは主に2つなのですが、このデメリットが大きいので、メリットが多いと言われるIEOでの投資もしっかりと考えなくてはならないのです。
価格下落のリスク
IEOも投資である以上、トークンを購入した後で暴落する可能性があります。
IEOをご存じの方は知っているかもしれませんが、上場直後は上がりやすいのが今までの傾向です。
だからと言って購入すれば必ず上がるという補償はありません。
IEOはまだまだ発展途上の暗号資産の面があるため、どのような動きになるかわかりません。
投資家が購入直後に売却して利益を確定させる傾向が強いため、一気に上がって一気に下落するという相場になりやすい傾向です。
投資である以上、株式取引よりも値動きが激しい暗号資産ですので慎重な判断も必要です。
上がり下がりがあるのはある程度仕方の無い事だとは思うのですが、投資をする上で「わからない」と言うのは大きなデメリットでしょう。
さらなる法整備が必要性
ICOに比べると問題が解消し信頼度が上がったのは間違いありませんが、法整備に穴があればどんなリスクが潜んでいるかわかりません。
また、中には怪しいトークンが審査の目をかいくぐって上場されてしまうのも大きなデメリットです。
交換所が行うIEOであるからといって、完全に安心であるというわけではありません。
そのような事態にならないように安全性を高めるために法整備を続けていく必要があります。
IEOの市場規模が大きくなったときに、日本よりも海外の各国がどのような対応を取るのかは、常に気にしておくとよいと思います。
海外の対応を踏まえて日本がどう動くかを事前に想定しやすくなるためです。
ICOよりもIEOには審査が有る分可能性としては低いと言えるのですが、ゼロであるとは言い切れないのはデメリットですね。
暗号資産IEOがcoincheckで取引可能に
IEOは、海外の取引所では導入されていて取引可能ですが、日本の取引所はIEOに参入していませんでした。
しかし、2021年7月29日より日本でIEOを取引できるようになりました。
日本初のトークンは「Palette Token(パレットトークン)」で、coincheck(コインチェック)という取引所で発行し、投資家はコインチェックで口座開設してトークンを購入できるようになりました。
実際に初めて取引が行われた状況について解説いたします。
コインチェックの発表で、第1号のプロジェクトであるパレットトークンの購入申込み受付が開始されました。(現在は終了)
コインチェックの公式発表の内容はこちらです。
https://corporate.coincheck.com/files/20210730/coincheck_ieo_plt_sales_report.pdf
申し込みは63,853口座、倍率は24.11との結果になっていて、集まった資金が、22,455,403,200円 (224億円超)です。
販売価格は4.05円/PLTに対し、最大95円近くまで高騰しました。
(2021年9月現在は68円ほどで推移)
いかに注目度が高かったかがわかる数字になっています。
それほど日本の投資家の関心が高かったのではないでしょうか。
IEOはまだこれからも進化が必要なテクノロジーであるがゆえに不安な面はあるかもしれませんが、それ以上に今後の市場価値の上昇に期待がもてます。
パレットトークンは第1弾ですので、今回の状況を受けて取引所の信頼性やIEOの安全性がさらに立証されれば、様子を見ている企業やプロジェクトが続々と資金調達の手段として参入してくるかもしれません。
そうなれば新たなIEOが行われる可能性があります。
IEOに参加してみたいという方は、今のうちにコインチェックの口座を開設して準備しておくとよいでしょう。
まとめ
IEOは、トークンを発行して資金調達を手軽にしつつも安全性を高めた手段です。
取引所と企業、投資家による暗号資産を利用した新しい試みが日本の暗号資産取引所でもスタートしました。それがIEOです。
- IEOはICOよりも安全性が高い
- IEOにもメリットがあり、注目度が高いのはメリットが今までの暗号資産には無いものだから
- デメリットも存在するので良い所にだけ注目しないようにする必要がある
IEOが行われトークンを購入したい方はコインチェックに口座を持てば誰でも参加できます。
初回の盛況ぶりから今後IEOが一層注目されそうです。
はじまったばかりで法整備の強化など課題はあるにしても、画期的な仕組みであることに変わりはなく今後に期待がもてる暗号資産のひとつと言えそうです。
気になった方は、この機会にIEOの動向をチェックしてみていかがでしょうか。